転職するまでの3ヶ月にやりたい10のこと

有給休暇の3ヶ月〜転職するまで、やりたいことをいくつ達成できるかチャレンジ・記録するブログです。

Day37 : ついに路上デビュー

Day37。

 

午前中は学科の授業を1コマ受けに自動車学校に行く。ついでに技能教習のキャンセル待ちリストに名前を書く。今日乗車の順番が回ってくればついに路上教習スタートになる。

 

午前中の学科授業の担当は仮免前の学科の授業で何度かお世話になった昭和の熱血先生。「交通事故のとき、自動車の所有者等の心得と保険制度」について学ぶ。

 

まずは免許取得後、車を購入する人のためのナンバープレートのお話。ナンバープレートのナンバーは5,000円ほど払えば好きなナンバーが指定でき、人気ナンバーについては抽選になるらしい。なるほどそういうシステムだったのか。

 

昭和先生はうれしそうに、"11-22”とホワイトボードに書き、「これ、人気なナンバーなんだけど、どんな語呂合わせかわかる人!」と質問する。冷たいヤングジェネレーションは相変わらず知らん顔。指名されても「ちょっとわかんないっす」みたいな回答。こんなテッパン答えてあげてよ、いい夫婦だってば、と思ってしまう。

 

その後も

"71-10" → 内藤さん

”31-10” → 斎藤さん

"10-01" → ボクの結婚記念日

など、昭和先生渾身のナンバーギャグを放り込んでくる。「あはは、オレこういうのやってると楽しくなっちゃうんだよなー」と赤くテカテカした笑顔で話す。かわいいじゃないか。ヤングジェネレーションよ、フリでもいいから笑ってあげて。お願いだから。

 

話が交通事故のときの対応についてになると、若き日の昭和先生が追突事故に遭った時の話を聞かせてくれる。当時板前になるための修行をしていて、深夜仕事終わりに車に乗っていると、年配の女性の運転するセダンタイプの車に後ろから突っ込まれたそうで、当時昭和先生が運転をしていたのがタイヤを特注して改造した車高が高い車で、後ろから追突してきた女性のセダン車の先端部分がすっぽりはまって停車したらしい。

 

学科のお勉強のポイントは、こういう時には直ちに安全な路肩やスペースがある場所に停車して警察に連絡しましょう、というところなんだけど、個人的には板前志望で改造したヤンキー車に乗っていた、そして現在自動車教習所指導員という昭和先生のキャリアの方が気になって仕方ない。

 

この授業の最後のトピック”自動車保険の種類と仕組み”では、こんな色々な人生経験をしてきたであろう昭和先生のアドバイスとして、任意自動車保険は必ず加入し、対人・対物は無制限、みたいな補償内容のプランにしておくことをすすめる、とのことだった。うちはどういう保険に加入しているのか帰ったら確かめよう。

 

授業が終わり、受付にカルテを返しに行くと「15時から乗車できますよ」と言われる。おお、ついに路上デビューの時がきた。

 

一度帰宅し、家事を済ませた後に再度路上デビューのために自動車学校に向かう。今までのコース内での教習同様に配車された車の助手席で教官を待つ。

 

「お待たせしました」と乗り込んできた教官の先生は、なんと仮免試験で試験官だった先生。俳優の平田満そっくりの先生は真面目にテキパキ感じよくあまり感情の波が表情に出ないタイプで、適切なことを適切なタイミングで言ってくれる。

 

「あんなポンコツドライバー、お前が仮免で通したんだから、一発目の教習はお前が行けよ」といった感じの罰ゲーム的なやりとりがあったかどうかはわからないが、私の路上デビューに指導してもらうことになった。おそろしや、ありがたや。

 

それにしても自動車学校の教官の先生たちは皆さん命を張っているとつくづく思う。学校内のコース教習ならまだいいけど、私みたいなポンコツドライバーの助手席に乗って公道を走るんだから、Driving to the death状態だ。しかも私の通う自動車学校は都内でも路上教習コースがトリッキーな難関校らしい。

 

先生はカルテを見ると、「今日が路上今日デビューですねー。」と顔色を変えずに言う。まずはドライバーの交代ポイントまで先生が運転してくれる。交代ポイントで路肩に止めてドライバーを交代していよいよ本当の路上デビュー。路肩から発進して車が流れている道路に合流しなければいけないが、サイドミラーで見る後ろから来る車との距離感やスピード感が全くつかめない。結局車が流れてい道路の信号が赤になって後続車が完全にいなくなったところで恐る恐る発進する。もう、信号やらミラーやら横断歩道やら、何にプライオリティをおいて見ればよいのかわからない。

 

「焦って前の車についていかなくて大丈夫ですよ」と先生が言う。自分がそれに必死になっていることすら自分ではわかっていない。そして初めてのT字路の左折。ウインカーを出してビビりながら左折する。「左の巻き込みと、横断歩道に人がいないか確認しましょうね。確認が一番大事です。」と先生。

 

左折すると道幅が比較的広く真っ直ぐ続く道路に出る。「それではここは流れに乗って加速しましょう。ここは40km/h道路です。」と言われたので恐る恐るアクセルを踏む。とにかく流れに乗らなくては。前の車と適度な車間距離を保ちながらついていく。すると「前についていかなくて大丈夫ですよ」とまた言われる。さらに「スピード出しすぎですね。60km/hでてますよ。20km/hオーバーです。」と言われる。え!私そんなにスピード出してるのか。「この辺りは慣れてるドライバーさんはスピード出しますからね。ここは焦らず法定制限速度内で走りましょう」と先生。

 

その後もシンプルな左折・右折が続いていくが、先生の指摘ではやはり左折・右折前のミラー&目視の確認が甘いらしい。完全に運転席で固まっていて、目しか動いていないらしい。確認が大事なのは重々承知しているが、まだ前方から目を話す、ということが怖くてできない。

 

今日は初めてなので、慣らす程度走って教習所に戻る。教習所内コースのなんとなつかしいことか。無事に帰ってこれたよ私。

 

極度の緊張とビビりで目がギラギラした状態で初めての路上教習は終了する。

 

受付でカルテを返すと「連続で乗車できますけどどうします?」と言われる。路上デビューの興奮が冷めやらず冷静に判断ができずに思わず「はい」と言ってしまう。もうギラギラしたままいくしかない。

 

間髪入れずに路上教習2時間目がスタートする。2時間目の教官の先生はやや太めの年配ベテラン風先生。マスクをしていて顔の全体はわからないが、体のフォルムと細い目が相撲部屋の親方っぽい。

 

親方先生はカルテをみて「あら、今日がデビューなの?なんで金曜の夕方に初めての運転を入れちゃったのー。一番混む時間帯じゃないの。」と言われる。私は「週末より平日の方が空いていていいかと思ってたんですがそうじゃないんですか?」と聞く。「いやいや、それは逆よぉ。平日は大型のトラックとか、仕事の車がたくさん出てるのよ。逆に週末はスカスカよ。まあ、その分車のスピードが速いけどね。」と、お嬢さん困ったねぇ、みたいな口調で言われる。平日の道路の方が混んでいるなんて、完全に予測を間違えた。

 

「今日はこれから、環七っていう道路に行きます。あまり金曜夕方に路上教習初日で運転したいルートじゃないけど、しょうがないねえ。がんばりましょう。」と先生。やだ、もう恐怖しかないじゃないの。

 

もう前だけをみて先生に言われるままにハンドルを切りペダルを踏むのみ。確認もとにかくフリだけ、本当に確認したら怖くて止まっちゃう。最後は親方先生が助けてくれることだけを信じて恐怖心に耐えて進むのみ!あまりの緊張が伝わったのか、赤信号で待っている時に親方先生が「息してる?」と聞いてきた。内心、してないかも、と思ったけど「大丈夫です」と答える。

 

大型トラックだらけの恐怖の環七をなんとか脱出し、「今日は初めてでいきなり2時間連続だし、道路も混んできたので今日はかえりましょうかね」と親方先生がいうのでホッとする。車じゃなければ今すぐ一目散に逃げ帰りたい。

 

早めに教習所に帰ってきたので、クールダウンも兼ねて所内コースをくるくる回る。親方先生が、「今の時期は学生が多いね。」と雑談をする。「私も若いうちにとればよかったです。いろいろな感覚や運動神経がもう少しよかったかもしれませんから。」というと、親方先生は、「いやいや、人生必要になった時が始めどきなんですよ。遅いも速いもないの。今があなたの青春なんだから。」という。なぜ青春がでてきたのかは謎だけど、親方先生なりに励ましてくれてるんだろうと思うとありがたい。

 

怒涛の路上デビュー&教習が終わった。

 

帰宅して旦那さんが帰ってくると早速路上デビューの報告をする。環七を走った、と報告すると「ええーっ!!」とマスオさんみたいに驚く。「いきなり初めてで環七走ったの?おっそろしいことするねぇー!」と言われる。

 

旦那さんはこの驚きを友達と共有したいらしく、サッカーチームのメンバーのグループLINEに「今日ウチの嫁、初めての路上教習で環七走った」と送信する。すぐに「マジか!」「攻めるねー」「チャレンジャーだな」等、賛辞が届く。

 

ぐったり疲れた1日だった。